持ち帰りが増える仕組み
持ち帰りが悪いわけではありません。その場で判断できない材料があるなら、持ち帰って調べるのが正しい進め方です。問題になるのは、持ち帰りが「結論を出さずに会議を終わらせる手段」として使われている場合です。
こうなると、次のような流れができあがります。
- 議題が次回に送られ、次回も材料が揃わないまま話し合う
- 同じ議題が3回、4回と会議に出てくる
- 参加者が「この会議では決まらない」と考えるようになる
- 決まらないので会議の回数を増やし、全員の時間がさらに減る
中小企業の会議では、出席者の多くが現場の業務を抱えています。会議が1時間増えれば、その分だけ本業の時間が削られます。結論が出ない会議は、時間の無駄というより、本業を止めている状態だと考えたほうが、社内で改善の話がしやすくなります。
結論が出ない四つの原因
原因を分けて見ると、打てる手が変わります。
1 決める人がその場にいない
金額や人の配置に関わる判断は、権限のある人がいないと決まりません。関係者を広く呼んだ結果、決裁者が別の予定で欠席している、という形はよく起きます。決める会議なのか、意見を集める会議なのかで、呼ぶ人は変わります。
2 判断の材料が揃っていない
見積が1社しか出ていない、現状の数字が分からない、前回の決定内容が手元にない。材料のない状態で集まると、会議の時間が材料集めの相談に使われます。
3 何を決める会議なのかが共有されていない
議題が「新システムについて」のように広いと、参加者それぞれが違う話をします。報告を聞きたい人、方針を決めたい人、懸念を言いたい人が同じ場にいて、話が交差したまま時間が来ます。
4 決め方が決まっていない
全員の合意を待つのか、責任者が決めるのか、多数で決めるのか。これが定まっていないと、反対が一つ出た時点で前に進まなくなります。四つのうち、見落とされやすいのがこの点です。
会議の前に決めておく三つ
準備といっても、資料を作り込む話ではありません。会議の案内に次の三つを書くだけで、場の性質が変わります。
- この会議で決めること:「A案とB案のどちらで進めるか」のように、答えの形まで書く
- 決める人:誰の判断で確定するのかを名前で書く
- 判断に使う材料:当日までに誰が何を用意するか
一番目の書き方には少しコツがあります。「価格について」ではなく「仕入先を現行のままにするか、X社に切り替えるかを決める」と書く。決めることが疑問文の形になっていれば、会議の終わりに答えが出たかどうかを確かめられます。
決めない会議もあってよい
情報共有だけの会議、意見を広く集める会議を否定する必要はありません。大事なのは、その会議がどちらなのかを先に示しておくことです。決めない会議だと分かっていれば、参加者は結論を求めて消耗しません。
決め方をあらかじめ決める
社内で一度だけ決めておけば、個々の会議で迷わなくなるのがこの部分です。
- 金額が一定額を超える判断は、責任者の決裁で確定する
- 現場の運用に関わることは、現場の責任者が決め、報告する
- 部門をまたぐ変更は、関係部門の確認を取ってから責任者が決める
- 反対意見は記録に残し、決定そのものは止めない
四番目を入れておくと、会議の空気が変わります。反対した人の意見が残る前提なら、反対を飲み込む必要がありません。「反対意見あり(○○部・理由は納期の不安)。それを踏まえてA案で進める」という記録が残れば、後から振り返るときの材料にもなります。
その場で決めるための進行
進行役の役割は、議論を仕切ることよりも、時間と論点を管理することです。
- 冒頭1分:今日決めることを読み上げる
- 議題ごとに時間を区切る:15分、20分と宣言してから始める
- 残り5分で切り替える:「ここからは決める時間です」と明示する
- 終わりに読み上げる:決まったこと、やること、担当、期限を口に出す
最後の読み上げは、1分から2分で終わります。それでいて効果が大きい習慣です。口に出すと、認識のずれがその場で見つかります。「それは私がやるんですか」という確認は、会議が終わってから出るより、会議中に出たほうが安く済みます。
決まらないときは「次の一歩」を決める
材料が足りず、どうしても判断できない議題はあります。その場合も、議題そのものを持ち帰るのではなく、次の一歩を決めてください。「誰が、いつまでに、何を調べ、どの会議で判断するか」。ここまで決まれば、議題は前に進んでいます。
決まらなかったことの残し方
議事録に書くのは、決まったことだけではありません。決まらなかったことを残しておくと、次回が速くなります。
- 保留にした議題と、その理由(材料不足・権限・時期)
- 保留を解くために必要なものと、用意する担当
- いつ判断するか
これを書いていない議事録は、次回に「前回どこまで話しましたか」から始まります。保留の理由まで残していれば、同じ議論を繰り返さずに済みます。
決定事項とやることを音声から拾う
会議の終わりに決定事項を読み上げる運用にすると、その部分が記録に残りやすくなります。音声から記録をつくる方法もあります。
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。決まったこととやることが分けて出てくるので、会議の直後に目を通して、認識のずれを直すところから始められます。PCとスマートフォンのブラウザで使えます。対応ブラウザから、マイクとパソコンの音を録音できます(環境によってはマイクの音だけになります)。会議室に入れるボットは不要です。
できあがった記録はWordとPDFで書き出せます。社内の議事録の様式がある場合は、Wordで書き出してから整える使い方ができます。誤変換されやすい表記と正しい表記を登録して、文字起こしと議事録の表記を置き換えることもできます。
AIは間違えます
ここは正直に書きます。AIは間違えます。音声認識は聞こえた音と前後の文脈から言葉を推測する仕組みなので、誤変換が出ます。本稿のテーマに関わる点で言えば、注意したいのは「決まっていないことが決定として書かれる」ことです。会議で「検討します」と言った内容が「対応します」と記録されることがあります。文字の誤りは読めば気づきますが、決定の有無の誤りは、もっともらしい日本語で書かれているため気づきにくい。出席していた人が、決定事項の欄だけでも確認する工程を置いてください。
録音は参加者の同意を得てから
会議の録音には参加者の同意が必要です。社外の方が入る打合せでは、冒頭で「記録のために録音します」と伝えてください。HANALOGでは音声は文字起こし後3日で削除(設定で残す場合も最大30日)、AIの学習には使わず、解約・退会から30日で全削除という扱いです。社内で共有しておくと、聞かれたその場で答えられます。
次の1回から試す
会議の運営を一度に変えようとすると、そのための会議が増えて止まります。次の1回から試せる範囲で始めてください。
- 次の会議の案内に「この会議で決めること」を疑問文で書く
- 決める人の名前を案内に入れる
- 終わりの2分で、決まったこととやることを読み上げる
- 保留にした議題は、理由と次の判断日を記録に残す
- 2週間続けたあと、持ち帰りの件数を前と比べる
五番目まで進めてください。「決まるようになった気がする」では、他の業務に押されて元に戻ります。持ち帰りが5件から2件に減ったという事実があれば、運用として残ります。
結論が出ない会議は、進行の技術だけでは変わりません。決める人と決め方を先に置くことが、いちばん効きます。有料プランは個人プランが月2,200円(税込)、ビジネスプランが1ユーザーあたり月2,200円(税込・年払いは月あたり1,980円)です。詳しくは料金ページをご確認ください。
決まったことを、会議の直後に形にする。
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