期間を決めていないと何が困るか
保存期間を決めずに運用を続けると、次のような形で跳ね返ってきます。
- 社外の方に録音の許可を求めたとき、データの扱いを説明できない
- 取引先の情報管理の確認(チェックシート)に答えられない
- 個人の端末や個人のアカウントに録音が残り、退職時に回収できない
- 評価や処遇に関わる面談の録音が、期限なく残り続ける
- 残っているデータの所在が分からず、何かあったときに探せない
三番目と四番目は、社内の問題として重く出ます。会議の録音には、発言した人の声と、話した内容が入ります。本人が「あの場の発言がいつまで残っているのか」を知らない状態は、会議での発言そのものを慎重にさせます。記録を残す目的が、発言を減らす結果につながると本末転倒です。
逆に言えば、「音声は○日で消える」と社内に示せていれば、録音への抵抗はかなり下がります。期間を決めることは、管理のための作業というより、録音を使いやすくするための前提です。
残すものを三つに分ける
ここを分けずに「録音データの保存期間」として考えると、話がまとまりません。性質が違う三つが混ざっているからです。
1 音声データ
いちばん短くてよいものです。声そのものが入っているため、万一外に出たときの影響が大きい。一方で、文字起こしと議事録ができあがったあとに音声を聞き返す場面は限られます。短く持って消す方針が合います。
2 文字起こし(下書き)
確認前の全文です。誤変換が含まれているため、これが社内に残り続けると、正しくない記述が参照されるおそれがあります。議事録を確定させたら役目は終わるので、中程度の期間で消す形が扱いやすいです。
3 確定した議事録
これは逆に、長く残すものです。決定事項と担当・期限が入った会社の記録なので、社内の文書規程に沿って保管します。契約や会計に関わる内容を含む場合は、関連する書類の保存期間に合わせる判断もあります。
三つを分けると、「音声は短く、議事録は長く」という当たり前の形に落ち着きます。多くの会社でこの整理ができていないのは、三つが同じフォルダに入っているからです。
期間の決め方
期間に正解はありませんが、決め方には手順があります。
- 用途から逆算する:音声を聞き返す場面があるか。あるとすれば何日以内か
- 会議の種類で分ける:社内定例、社外打合せ、面談、採用、苦情対応
- 長めに残す例外を決める:契約や金額の協議、苦情対応は、当面残す判断がある
- 短くする例外を決める:人事評価や健康に関わる面談は、短く、または録音しない
- 決めた期間を書いて共有する:口約束にしない
一番目から始めてください。実務で音声を聞き返すのは、たいてい議事録を書いた直後です。「3営業日以内に確認を終える運用なら、音声は数日で足りる」という結論になることが多いはずです。
人に関わる会議は別扱いにする
四番目は忘れられやすい点です。評価面談、処遇の相談、体調や家庭の事情に触れる面談は、記録の目的が業務の進行とは異なります。録音の対象から外すか、音声を短期で消し、合意した内容だけを文書で残す。どちらかにしておくほうが、後でもめません。
社内ルールに書く項目
長い規程を作らなくてよいので、A4で1枚にまとめてください。書く項目は次のとおりです。
- 録音してよい会議と、録音しない会議
- 録音する前に伝えること(参加者への告知の文言)
- 音声、文字起こし、確定した議事録の保存期間
- 保存する場所(個人の端末やアカウントに置かない旨を含む)
- 見られる人の範囲(出席者のみか、部門内か、全社か)
- 社外へ出すときの扱い(誰の確認を取るか)
- 消す担当と、消したことを確かめる方法
- 社外から問われたときの回答先(担当部署)
四番目を入れておくと、実務の抜けが減ります。録音が個人のスマートフォンの中だけに残っている状態は、期間を決めていても管理できません。置き場所を会社側に寄せることが、期間を決めることと同じくらい効きます。
消す担当を決める
七番目が抜けると、ルールは紙のまま残ります。自動で消える仕組みがあればそれに任せ、手作業が残る部分については担当と頻度(毎月末など)を書いてください。
同意と説明の仕方
会議の録音には参加者の同意が必要です。実務では、次の形で足りることが多いです。
- 会議の案内に「記録のために録音します」と書いておく
- 会議の冒頭で口に出して伝え、異議がないかを確かめる
- 社外の方には、目的(議事録の作成)と扱い(保存期間、学習に使わないこと)を簡潔に伝える
- 断られた場合は録音せず、終わりに決まったことを読み合わせる形に切り替える
オンラインやハイブリッドの会議では、会議室で口頭だけ伝えても、画面の向こうに届いていないことがあります。全員に聞こえる形で伝えてください。
聞かれる質問は決まっている
社外の方から聞かれる内容は、だいたい三つです。「どこに保存されるのか」「いつまで残るのか」「AIの学習に使われるのか」。この三つの答えを1行ずつ用意して、営業や現場の担当者に渡しておくと、その場で答えられます。答えられるかどうかで、相手の反応はかなり変わります。
HANALOGでのデータの扱い
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。PCとスマートフォンのブラウザで使えます。対応ブラウザから、マイクとパソコンの音を録音できます(環境によってはマイクの音だけになります)。会議室に入れるボットは不要です。
本稿のテーマに関わる部分では、次の扱いになっています。
- 音声は文字起こし後3日で削除されます(設定で残す場合も最大30日)
- AIの学習には使いません
- 解約・退会から30日で全削除されます
上で整理した三つの分け方に当てはめると、音声の期間は既定で短く、確定した議事録は自社で保管する形になります。できあがった記録はWordとPDFで書き出せるので、社内の文書規程に沿った場所へ移して保管する運用が取れます。誤変換されやすい表記と正しい表記を登録して、文字起こしと議事録の表記を置き換えることもできます。
AIは間違えます
AIは間違えます。音声認識は聞こえた音と前後の文脈から言葉を推測する仕組みなので、誤変換が出ます。保存期間の話と関わるのは、確認前の文字起こしをそのまま保管してしまう場合です。誤った記述が「社内の記録」として残り、あとから参照されるおそれがあります。出席していた人が決定事項と担当・期限を確認し、確定したものを正として保管する。確認前の下書きは、確定後に残さない。この二つを運用に入れておくと、記録の信頼性が保てます。
ひな形をつくる手順
規程づくりを大きく構えると、着手されないまま半年が過ぎます。1枚にまとめることを目標にしてください。
- 社内の会議を種類で並べ、録音する会議と録音しない会議を分ける
- 音声、文字起こし、確定した議事録の3つについて、期間を決める
- 保存場所を決め、個人の端末や個人アカウントに置かない旨を書く
- 社外から聞かれる三つの質問への回答を1行ずつ用意する
- A4で1枚にまとめ、朝礼か定例で共有する
- 3か月後に、実際の運用と合っているかを見直す
四番目を先に作ってしまうのも手です。社外対応の1枚があれば、現場の担当者が答えに詰まる場面が減ります。ルール全体の整備は、その後ろから付いてきます。
保存期間を決める作業は、情報管理のためだけに行うものではありません。期間が決まっていれば、録音を提案しやすくなり、会議の記録そのものが進みます。なお、業種によっては記録の保存について法令や業界のルールが定められている場合があります。自社に適用される義務については、顧問の専門家や所管の窓口に確認してください。有料プランは個人プランが月2,200円(税込)、ビジネスプランが1ユーザーあたり月2,200円(税込・年払いは月あたり1,980円)です。詳しくは料金ページをご確認ください。
データの扱いを確かめながら、試してみてください。
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