「共有した」と「届いた」は違う
議事録を共有フォルダに置いた時点で、共有は終わったことになりがちです。ところが受け取る側から見ると、置いてあることと読んだことのあいだには距離があります。読まれない議事録には、だいたい共通の理由があります。
- 長い。最後まで読まないと自分に関係があるか分からない
- どこに置いてあるか、置いた人しか知らない
- 置いたことが通知されない
- 自分が出ていない会議の記録を読む習慣がない
- 読んでも何をすればよいか書かれていない
この五つは、書き手の努力不足というより、共有の設計が抜けている状態です。議事録を「記録を残す作業」として見ると書き終わった時点で完了しますが、「決まったことを動かす作業」として見ると、届いて初めて完了します。どちらで考えるかで、書く内容も変わります。
伝わらない分のコストは会議の外に出る
伝わらなかった分は、あとから個別の説明、手戻り、発注や段取りのやり直しという形で表に出ます。会議そのものは短く終わっていても、社内の合計時間では増えていることがあります。会議の改善を社内で提案するときは、この点を数字で示せると話が進みやすくなります。
読み手を三つに分ける
全員に同じものを送るのをやめて、読み手を分けるところから始めます。
1 やることを持つ人
会議で担当になった人です。出席していたかどうかに関わらず、自分の担当と期限が書かれています。この人たちには、内容を読んでもらうだけでなく、引き受けたことを確認してもらう必要があります。
2 影響を受ける人
決定の結果として、自分の仕事のやり方や段取りが変わる人です。たとえば仕入先を切り替える決定があれば、発注の担当者と検品の担当者は影響を受けます。会議には出ていないことが多く、いちばん伝達が漏れやすい層でもあります。
3 知っておくだけの人
すぐに動くことはないが、経緯を知っておいたほうがよい人です。ここに大量の情報を送ると、他の二つの通知まで埋もれます。
三つに分ける効果は、送る内容を変えられることよりも、「誰に届いていないと困るのか」を書き手が意識できることにあります。
相手ごとに出す分量を変える
議事録そのものは1つで足ります。変えるのは、添える案内文のほうです。
- やることを持つ人へ:担当になった項目と期限を本文に抜き書きし、違っていれば返信してもらう旨を添える
- 影響を受ける人へ:何がいつから変わるのかを2行から3行で書き、詳細は議事録を見てもらう
- 知っておくだけの人へ:決まったことの見出しだけを並べる
一番目の「違っていれば返信してもらう」は短い一文ですが、入れておくと認識のずれが早く見つかります。黙っていることが同意だと扱われる運用は、あとで「そんなつもりではなかった」が出てきます。
期限は日付で書く
「来週中」「月内」ではなく日付で書いてください。送る相手が会議に出ていない場合、その人は発言の流れを知りません。前後の文脈がないところに相対的な表現を置くと、解釈が分かれます。
届け方の経路を決めておく
経路が会議ごとに違うと、受け取る側は毎回探すことになります。社内で一度決めてしまったほうが早いのは、次の四つです。
- 置き場所:どのフォルダのどこに、どういう名前で置くか
- 通知の手段:メールか、社内チャットか。どちらか一つに寄せる
- いつまでに出すか:会議の当日中か、翌営業日の午前中までか
- 出す人:進行役か、記録した人か
三番目を決めておくと、議事録が届く時期が読めるようになります。いつ来るか分からないものは、受け取る側も読む習慣をつくれません。遅れる場合でも、決まったことだけ先に流して、詳細はあとから出す形にできます。
現場に机がない人をどう扱うか
建設や製造、配送の現場では、勤務中にメールを見ない人がいます。この層には、紙に印刷して掲示する、朝礼で読み上げる、スマートフォンのチャットに短く流すなど、別の経路が要ります。経路を一本に統一できない場合は、「誰にはどの経路で届けるか」を名簿の形で一度つくっておくと、担当者が代わっても運用が残ります。
書かないことを決める
共有を広げるほど、書いてよい範囲の線引きが要るようになります。社内で共有するときに扱いを決めておきたいのは、次のあたりです。
- 人事や評価に関わる発言
- 個人の体調や家庭の事情
- 取引先との未確定の価格や条件
- 社外に出ると困る内部の数字
- 特定の人を批判する発言
五番目については、議事録は発言の記録であると同時に、あとから誰でも読める文書になります。言い方の強かった発言をそのまま載せると、本題より発言のほうが話題になります。決まったことと理由を残し、言い回しは整える判断があってよい部分です。
音声から共有用の記録をつくる
共有の設計が決まっていても、議事録そのものが出てこなければ動きません。会議の直後に手が空かないことが、共有が止まる最も多い理由です。
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。決定事項とアクションが分かれて出てくるので、担当者へ抜き書きして送る部分を組み立てやすくなります。PCとスマートフォンのブラウザ(Chrome・Edge・Safari)で使えます。オンライン会議で相手の声も取り込みたい場合は、PCの画面共有から音声を取り込む形です(ChromeとEdgeのみ)。会議室に入れるボットは不要です。スマートフォン専用のアプリは準備中で、いまはブラウザ版をホーム画面に登録して使う形になります。
できあがった記録はWordとPDFで書き出せます。社内に決まった様式がある場合は、Wordで書き出してから整える使い方ができます。業種ごとの専門用語を登録して変換精度を上げることもできます。
AIは間違えます
AIは間違えます。音声認識は聞こえた音と前後の文脈から言葉を推測する仕組みなので、誤変換が出ます。共有の場面でとくに気をつけたいのは、担当者の取り違えです。「山田さんが」と「山本さんが」のような近い音の取り違えは、文章としては自然に読めてしまい、そのまま送ると別の人にやることが割り振られます。送る前に、担当者名と期限と金額だけは目で確かめてください。この3点に絞れば、確認は長くかかりません。
録音は参加者の同意を得てから
会議の録音には参加者の同意が必要です。冒頭で「記録のために録音します」と伝えてください。社外の方が入る打合せでは、とくに省かないようにしてください。データの扱いを聞かれたときのために、HANALOGでは音声は文字起こし後3日で削除(設定で残す場合も最大30日)、AIの学習には使わず、解約・退会から30日で全削除という扱いであることを、社内で共有しておくと答えやすくなります。
1つの会議から始める
社内の共有ルールを一度に整えようとすると、そのための会議が増えて止まります。繰り返し開いている会議を1つ選んでください。
- その会議の関係者を、上の三つの分類で名簿にする
- 置き場所と通知の手段と出す期限を決め、関係者に伝える
- 担当になった人には、担当と期限を本文に抜き書きして送る
- 4週間続ける
- 「聞いていない」が何件出たかを、前と比べる
五番目まで進めてください。共有が良くなった感触だけでは、忙しくなった時点で元に戻ります。件数が減った事実があれば、他の会議にも広げる理由を説明できます。
議事録は、会議に出ていた人が思い出すための文書であると同時に、出ていなかった人が仕事を進めるための文書でもあります。後者を意識して書くと、残す項目が自然に決まってきます。有料プランは個人プランが月2,200円(税込)、ビジネスプランが1ユーザーあたり月2,200円(税込・年払いは月あたり1,980円)です。詳しくは料金ページをご確認ください。
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