記録は時間とともに薄れる
会議から時間が経つほど、記録を仕上げる作業は重くなります。理由は三つあります。
- 話の流れを覚えていないので、メモの断片から文脈を復元する必要がある
- 決まったのか決まらなかったのかの判断が、思い出せなくなる
- 他の業務が入り、まとまった時間を確保しにくくなる
二番目がいちばんやっかいです。発言の内容は録音やメモから拾えますが、「結局これは決定だったのか」という解釈は、その場にいた記憶に依存します。時間が経つと、書き手は無難に「検討することとした」と書くようになります。この一行が増えると、議事録は読んでも何も動かない文書になります。
30分は「書く時間」ではない
ここで言う30分は、議事録を清書する時間ではありません。記憶が残っているうちに、決定の有無と担当を確定させ、関係者に流すまでの時間です。文章として整える作業は、後回しにしてもかまいません。
会議の最後の5分でやること
30分の中身は、会議の終わり方に左右されます。終了の5分前に、進行役が次をやってください。
- 決まったことを声に出して読み上げる
- やることについて、担当者の名前と期限を読み上げる
- 決まらなかったことを挙げ、次に判断する時期を言う
- 「認識が違う方はいますか」と一度だけ聞く
四番目を入れておくと、その場で食い違いが出ます。「それは私がやるんですか」という確認は、会議が終わってから出るより、会議中に出たほうが安く済みます。読み上げは1分から2分で終わります。この数分を取るかどうかで、後の30分の中身がまるで変わります。
終了後30分の手順
順番に意味があります。上から順に進めてください。
はじめの10分|決定とやることを確定させる
- 決まったことを箇条書きで書き出す
- やることに、担当者名と日付の期限を付ける
- 決まらなかったことを、理由(材料不足・権限・時期)とあわせて書く
期限は「来週中」ではなく日付で書いてください。会議に出ていなかった人が読むとき、相対的な表現は解釈が分かれます。
次の10分|事実の部分を確かめる
- 人名と社名の表記
- 金額、数量、日付
- 品番や図面番号などの記号
この3点に絞るのが要点です。全文を読み直そうとすると時間が足りず、結局あとでやることになります。固有名詞と数字だけ見るなら10分で終わります。
残りの10分|関係者へ流す
- 担当になった人へ、その人の担当分を本文に抜き書きして送る
- 影響を受ける部署へ、何がいつから変わるかを2行から3行で送る
- 本文に「相違があればご返信ください」と一文添える
- 原本を決まった置き場所に保存する
文章としての体裁が整っていなくても、この段階で流してかまいません。遅れて整った文書より、当日に届く箇条書きのほうが仕事は動きます。
何をもって確定とするか
流した時点ではまだ下書きです。確定の条件を社内で決めておかないと、どれを見ればよいか分からない記録が溜まります。
- 誰が確認したら確定とするか(進行役か、決裁者か)
- いつまでに異議がなければ確定とするか(翌営業日の終業まで、など)
- 確定したものに、確定日と確認者を入れる
- 確定した記録と下書きの置き場所を分ける
二番目を決めておくと、返信が来ないまま宙に浮く状態を避けられます。黙っていることを同意と扱う運用には弱さもありますが、期限を切らずに待ち続けるよりは前に進みます。社外が絡む打合せや、金額に関わる合意については、相手の明示的な返答をもらう形にしたほうが安全です。
30分が取れない会議への対処
会議が連続して入っている日は、直後に30分を確保できません。その場合は、はじめの10分だけを切り出してください。
- 決まったこと、担当、期限だけを書き出し、その場で流す
- 事実の確認と保存は、その日のうちの空いた時間に回す
- 当日中に手が空かない見通しなら、翌日の始業直後に30分を入れておく
一番目だけでも流れていれば、担当になった人は動けます。完成した議事録を待つあいだ、やることが止まっているのがいちばん損失の大きい状態です。
会議の直後を予定に入れておく
会議を1時間で入れるのではなく、1時間半で押さえ、後半の30分を記録の時間にしてしまう方法もあります。予定として押さえていなければ、次の用事が入ります。記録が出てこない会社の多くは、記録する時間が誰の予定にも入っていません。
音声から下書きをつくる
30分の手順のうち、書き出す作業を軽くできると全体が回りやすくなります。
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。はじめの10分で書き出す部分が下書きとして出てくるので、確認して直すところから始められます。PCとスマートフォンのブラウザ(Chrome・Edge・Safari)で使えます。オンライン会議で相手の声も取り込みたい場合は、PCの画面共有から音声を取り込む形です(ChromeとEdgeのみ)。会議室に入れるボットは不要です。スマートフォン専用のアプリは準備中で、いまはブラウザ版をホーム画面に登録して使う形になります。できあがった記録はWordとPDFで書き出せるので、社内の様式に合わせる場合はWordで書き出してから整えられます。
AIは間違えます
AIは間違えます。音声認識は聞こえた音と前後の文脈から言葉を推測する仕組みなので、誤変換が出ます。自動で下書きが出てくるからこそ、確認の工程を省かないでください。この記事の手順で言えば、次の10分の「事実の部分を確かめる」が、その工程にあたります。とくに注意したいのは、決まっていないことが決定として書かれる場合です。「持ち帰って検討します」が「対応します」と記録されても、文章としては自然に読めるため気づきにくい。出席していた人が、決定事項の欄だけでも目を通してください。業種ごとの専門用語を登録して変換精度を上げることもできますが、それでも誤りが出ないとは言えません。
録音は参加者の同意を得てから
会議の録音には参加者の同意が必要です。冒頭で「記録のために録音します」と伝えてください。社外の方が入る打合せでは、とくに省かないようにしてください。HANALOGでは音声は文字起こし後3日で削除(設定で残す場合も最大30日)、AIの学習には使わず、解約・退会から30日で全削除という扱いです。社内で共有しておくと、聞かれたその場で答えられます。
次の会議から試す
運用を全部整えてから始めようとすると、準備で止まります。次の1回から試せる形にしてください。
- 会議の終了5分前に、決まったこととやることを読み上げる
- 終了後10分で、決定・担当・日付の期限を書き出す
- 固有名詞と数字だけ確かめて、その日のうちに流す
- 確定の条件(誰が確認し、いつまで異議がなければ確定か)を一度決める
- 2週間続けたあと、共有までにかかった日数を前と比べる
五番目まで進めてください。早くなった感触だけでは、忙しくなった時点で元に戻ります。3日かかっていたものが当日になった事実があれば、運用として残ります。
議事録が出てこない会社に足りないのは、書き方の知識ではないことがほとんどです。会議の直後に30分を置くかどうか。そこだけでも先に決めてみてください。有料プランは個人プランが月2,200円(税込)、ビジネスプランが1ユーザーあたり月2,200円(税込・年払いは月あたり1,980円)です。詳しくは料金ページをご確認ください。
会議の直後に、下書きができている状態をつくる。
HANALOGの無料トライアルは登録から1か月、クレジットカードの登録は不要です。カードを登録しないため、自動で課金されることはありません。

