範囲を決めていないと何が起きるか
アクセスの範囲を決めないまま運用すると、次のようなことが起こります。
- 人事や処遇に関わる会議の録音を、関係のない社員が聞ける状態になっている
- 取引先との価格交渉の音声が、社内の広い範囲に残っている
- 退職した人のアカウントに、過去の会議の記録が残り続けている
- 「聞かれているかもしれない」という意識から、会議で率直な発言が出なくなる
- 社外から問い合わせがあったときに、誰が見られる状態だったのか答えられない
四番目は見落とされがちですが、運用上は大きな問題です。録音を始めたら会議の発言が慎重になった、という声が出たときは、記録そのものではなく、誰に見られるか分からない状態が原因である場合があります。範囲が明示されていれば、発言する側は見通しを持てます。
音声・文字起こし・議事録は別物として扱う
ひとまとめに「会議の記録」と呼んでいるものは、実際には性質の違う三つです。扱いを分けて考えると、範囲の設計がしやすくなります。
- 音声データ:発言がそのまま残る。言い方、口調、雑談も含まれる
- 文字起こし:発言の全文。誤変換を含む下書きの状態
- 議事録:決まったこと、やること、論点を整理した文書。確認を経たもの
社内で広く共有してよいのは、三番目です。一番目と二番目は、会議の参加者と記録を担当する人に限るのが基本の形になります。文字起こしには、議事録に載せない判断をした発言も残っています。この区別をせずに「記録を共有」としてしまうと、意図しない範囲まで出ていきます。
確認前の下書きを広く配らない
自動で作成された文字起こしは、確認を経るまでは誤りを含む下書きです。誤変換のある文書が社内に出回ると、訂正の手間が増えるだけでなく、誤った内容が事実として引用されることがあります。下書きの段階で見られるのは誰か、確定したものを見られるのは誰か。この二つを分けてください。
誰に見せるかを決める基準
会議ごとに判断していると運用が続きません。会議の種類で分類してしまうほうが現実的です。
- 社内の定例会議:議事録は関係部署まで。音声と文字起こしは参加者と記録担当
- 取引先との打合せ:議事録は案件の関係者まで。音声は担当部署に限る
- 人事・評価・労務に関わる会議:録音するかどうかから検討する。残す場合は参加者のみ
- 経営に関わる会議:議事録の共有範囲を、議題ごとに決める
- 1対1の面談:原則として本人と面談者のみ。録音の可否は本人に確認する
三番目と五番目は、録音すること自体を一度立ち止まって考える対象です。記録として残す価値と、話しにくくなる影響を比べてください。個人の体調や家庭の事情が出る可能性のある場では、録音せずに、決まったことだけをあとから書き留める形にする判断もあります。
「全社で見られる」は選ばない
共有フォルダの都合で、結果として全社員が見られる場所に置かれている例があります。意図した設計ではなく、置き場所の都合でそうなっていることが多い。範囲を決めたら、実際の保存場所とアクセス権がその通りになっているか、一度確かめてください。
人の出入りに合わせて見直す
アクセス権は、一度決めたら終わりではありません。人が動くたびに、見直す場面が生まれます。
- 退職:アカウントの停止と、本人が作成した記録の引き継ぎ先を決める
- 異動:前の部署の記録を引き続き見られる状態にしておくか判断する
- 入社:過去の記録をどこまで見せるかを決める
- 委託先や派遣の方:契約の範囲と、見られる記録の範囲を合わせる
一番目は、手続きの流れに組み込んでおかないと抜けます。退職時のチェックリストに、貸与品の返却やメールアカウントの停止と並べて、会議記録サービスのアカウントの扱いを入れておいてください。二番目は判断が分かれるところですが、異動後も前部署の案件に関わるかどうかで決めるのが分かりやすい基準です。
社内ルールに書いておく項目
長い規程をつくる必要はありません。A4で1枚に、次を書いてあれば運用できます。
- どの会議を録音するか、しないか
- 録音することを、いつ誰が参加者に伝えるか
- 音声・文字起こし・議事録それぞれを、誰が見られるか
- 保存期間と、削除のタイミング
- 社外に出す場合の手続きと、承認する人
- 人が異動・退職したときの扱い
- 問い合わせがあったときの窓口
二番目は、法令や社内規程の話である以前に、信頼の問題です。会議の録音には参加者の同意が必要です。冒頭で「記録のために録音します」と伝えてください。社外の方が入る打合せでは省かないようにしてください。参加者が難色を示した場合は、録音せずに終わりに決まったことを読み合わせる形に切り替える判断もあります。
個人情報としての扱いは専門家に確認を
会議の音声や記録に、個人を特定できる情報や、取り扱いに配慮が要る情報が含まれる場合があります。自社の事業内容や扱う情報によって、どこまでの管理が求められるかは変わります。本稿は社内運用の考え方を整理したものであり、法令上の要件の判断までは行えません。個人情報保護法への対応や、業界ごとの規制については、顧問の弁護士や、所管する団体の指針を確認してください。
HANALOGでのデータの扱い
社内ルールを決めるとき、使っているサービス側の仕様も前提になります。HANALOGでの扱いは次のとおりです。
- 音声は文字起こしの後、3日で削除されます(設定で残す場合も最大30日)
- お預かりしたデータをAIの学習に使うことはありません
- 解約・退会から30日ですべて削除されます
一番目は、社内ルールを決めるうえで扱いやすい仕様です。音声そのものが長く残らないため、「いつまで聞ける状態なのか」の答えが明確になります。長く残す必要がある会議がある場合は、設定で延ばせる期間の範囲で運用を決めてください。
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。PCとスマートフォンのブラウザ(Chrome・Edge・Safari)で使えます。オンライン会議で相手の声も取り込む場合は、PCの画面共有から音声を取り込む形です(ChromeとEdgeのみ)。会議室に入れるボットは不要なので、相手方の会議システムにボットを招き入れる調整は発生しません。できあがった記録はWordとPDFで書き出せます。書き出したファイルは自社の管理下に移るため、その後の保管と共有の範囲は社内ルールの側で決めてください。
AIは間違えます
AIは間違えます。音声認識は聞こえた音と前後の文脈から言葉を推測する仕組みなので、誤変換が出ます。社名や人名、金額が、音の近い別の語に置き換わることがあります。業種ごとの専門用語を登録して変換精度を上げられますが、それでも誤りが出ないとは言えません。共有範囲の話と合わせて考えると、誤りを含んだ下書きが広い範囲に流れることが、いちばん避けたい状態です。確認を済ませたものだけを共有範囲に出す。この順番を運用に組み込んでください。
1枚の紙から始める
情報管理の規程を一から整えようとすると、着手に時間がかかります。いま録音している会議から始めてください。
- 録音している会議を書き出し、上の5分類に当てはめる
- 分類ごとに、音声・文字起こし・議事録それぞれの共有範囲を決める
- 実際の保存場所とアクセス権が、決めた範囲と合っているか確かめる
- 退職と異動の手続きに、アカウントの扱いを1行加える
- 決めた内容をA4で1枚にまとめ、会議の参加者に配る
五番目まで進めてください。決めただけで共有していないと、「誰が見られるんですか」という質問はまた出ます。配ってあれば、その紙を示せば済みます。
共有範囲を決める作業は、記録を縛るためのものではありません。範囲が見えていれば、参加者は安心して話せます。率直な発言が残る会議にするための準備だと考えると、取り組む理由が社内で説明しやすくなります。有料プランは個人プランが月2,200円(税込)、ビジネスプランが1ユーザーあたり月2,200円(税込・年払いは月あたり1,980円)です。詳しくは料金ページをご確認ください。
データの扱いを決めてから、会議の記録を始める。
HANALOGの無料トライアルは登録から1か月、クレジットカードの登録は不要です。カードを登録しないため、自動で課金されることはありません。

