ハイブリッド会議で起きること
ハイブリッド会議の難しさは、同じ会議に二種類の参加者がいることから生まれます。
- 会議室側の声が遠く、オンライン側に聞き取れない発言が出る
- 会議室側で小声の相談が進み、オンライン側が置いていかれる
- オンライン側が発言したいときに割り込めず、議論に入れない
- 会議室のホワイトボードが画面に映らず、話が共有されない
記録の観点で言えば、これは「聞こえていない発言が議事録に残らない」という形で現れます。会議室の端に座った人の発言、オンライン側の短い確認、画面に映っていない手書きの図。どれも議論の一部なのに、記録から落ちます。
落ちた部分は、あとで「そんな話をしましたか」というやりとりになって戻ってきます。ハイブリッド会議の記録を整えることは、体裁の話ではなく、認識のずれを減らす話です。
音の入口を一つに寄せる
記録を残すうえで最初に決めたいのは、どの音を記録するかです。会議室の声とオンライン側の声、二つの音が別の経路で流れているため、ここを決めないまま録音すると片方だけが残ります。
現実的な整え方は二つです。
会議室の音にまとめる
オンライン側の音声を会議室のスピーカーから出し、会議室に置いた端末のマイクでまとめて拾う形です。会議室の声とスピーカーから出たリモート側の声が、同じマイクに入ります。段取りが単純で、参加者に説明しやすいのが長所です。スピーカーの音量が小さいとリモート側の声が弱くなるので、録音する端末はスピーカーと話者の中間あたりに置くとよい結果になりやすいです。
オンライン会議の音を取り込む
会議室側にマイクを置いてオンライン会議に参加し、オンライン会議の音を記録する形です。会議室の声はオンライン会議のマイクを通るので、会議室のマイクが声を拾えているかが前提になります。HANALOGの場合は、対応ブラウザから、マイクとパソコンの音を録音できます(環境によってはマイクの音だけになります)。
どちらを選ぶかは、会議室の設備で決まります。スピーカーとマイクが備わった会議室なら前者が早く、ノートPC1台で回している会議室なら、画面を映す都合もあって後者になりやすいです。先に一度試して、どちらが自社の部屋で聞き取れるかを確かめてください。
二つの経路で同時に音を出さない
会議室にいる複数の人がそれぞれ端末でオンライン会議に入り、全員がマイクとスピーカーを有効にすると、音が回ってハウリングが起きます。記録の面でも、同じ声が重なって文字起こしが乱れます。会議室側で音を出し入れする端末は1台に絞り、ほかの端末はマイクとスピーカーを切る。これだけで音の状態がかなり落ち着きます。
進行で補える部分
設備を入れ替えなくても、進行の工夫で記録の質は変わります。
- 冒頭で出席者が名乗る:会議室側とオンライン側を分けて順に名乗ると、発言者の判別がしやすくなる
- 発言の前に名前を言う:「営業の○○です」と置いてから話す
- 一人ずつ話す:会議室側で同時に話すと、オンライン側にも記録にも届かない
- 会議室の小声の相談を拾う:進行役が「いまの話を共有します」と言い直す
- オンライン側に順番を回す:議題ごとに「リモートの方、いかがですか」と明示的に振る
- ホワイトボードは写真に残す:画面に映せない図は撮影して共有する
四番目が効きます。会議室では、全体の議論と並行して隣同士の相談が進みます。その相談で方向が決まることもあるので、進行役が言い直して全体に戻す。言い直された内容は音声にも残るため、記録にも入ります。
終わりに読み上げる
会議の終わりに、決まったこと、やること、担当、期限を口に出して読み上げてください。1分から2分で終わります。オンライン側が聞き取れていなかった部分の確認にもなり、認識のずれがその場で見つかります。
議事録に残す項目
ハイブリッド会議の議事録では、通常の項目に加えて、参加の形を残しておくと後で役に立ちます。
- 出席者:会議室とオンラインを分けて記載する
- 決まったこと:決定の内容と、決めた人
- やること:担当と期限
- 保留:決まらなかった議題と理由
- 共有できなかったもの:画面に映せなかった資料や図(あとで配る前提で)
- 次回の予定:日時と、次回に判断する議題
一番目を分けて書く理由は、あとから「その決定の場に誰がいたか」を確かめやすくするためです。オンライン参加者は途中で通信が切れていることもあります。誰がどの形で参加していたかが残っていれば、確認の相手を間違えません。
録音から記録をつくる
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。ハイブリッド会議では、議論が行き来して話が前後しやすいため、全文の文字起こしに加えて、決定事項とやることが分けて出てくる形が扱いやすいところです。
PCとスマートフォンのブラウザで使えます。会議室に入れるボットは不要なので、相手の会議システムに参加者を追加する手続きは要りません。社外の方が入る打合せで「別のサービスのボットを入れてよいか」を毎回確認する手間がない点は、ハイブリッド会議では働きやすい部分です。
できあがった記録はWordとPDFで書き出せます。誤変換されやすい表記と正しい表記を登録して、文字起こしと議事録の表記を置き換えることもできます。Android アプリは Google Play で公開しており、iPhone アプリは公開に向けて準備中です。
AIは間違えます
AIは間違えます。音声認識は聞こえた音と前後の文脈から言葉を推測する仕組みなので、誤変換が出ます。ハイブリッド会議では、とくに二つの点に注意してください。一つは発言者の取り違えです。声が混ざる場面や、スピーカー越しの声が入る場面では、発言の帰属が入れ替わることがあります。もう一つは、聞き取りにくかった部分が、前後の文脈から自然な文に整えられることです。実際には聞こえていなかった箇所が、もっともらしい日本語で埋まることがあります。決定事項、担当と期限、数字については、出席していた人が確認する工程を置いてください。
録音は参加者の同意を得てから
会議の録音には参加者の同意が必要です。ハイブリッド会議では、会議室側とオンライン側の両方に伝わるよう、冒頭で「記録のために録音します」と口に出してください。会議室で口頭だけで伝えると、オンライン側に届いていないことがあります。データの扱いについては、HANALOGでは音声は文字起こし後3日で削除(設定で残す場合も最大30日)、AIの学習には使わず、解約・退会から30日で全削除という扱いです。社外の方に聞かれたときに答えられるよう、社内で共有しておくと進めやすいです。
うまくいかない場面
向かない条件もあります。先に知っておくと、判断が早くなります。
- 広い会議室の端に座った人の声は、マイクから遠く、拾いにくい
- 通信が不安定なオンライン参加者の声は、途切れた形で記録される
- 空調や工事の音が大きい部屋では、文字起こしの精度が落ちる
- 複数の人が同時に話す議論は、どの声も拾いにくくなる
一番目は座席で対処できます。録音する端末を長机の中央に置き、発言が多い人を近くに配置する。それだけで結果が変わります。三番目は部屋を変えるか、空調を一時的に弱めるかの判断になります。設備を増やす前に、座席と部屋の選び方で改善する余地がどれくらいあるかを見てください。
一つの定例から試す
全社の会議を一度に変えようとすると、設備の検討が始まって止まります。定例を一つ選んでください。
- ハイブリッドで行っている定例を一つ選ぶ
- 音の入口を決める(会議室の音にまとめるか、オンライン会議の音を取り込むか)
- 冒頭の名乗りと、終わりの読み上げを入れる
- 1回分の記録を読み、聞き取れていない箇所がどこに集まったかを見る
- 座席、端末の置き場所、部屋を一つだけ変えて、もう1回試す
四番目と五番目まで進めてください。聞き取れない箇所は、たいてい同じ場所に集まります。席の端、スピーカーの向き、空調の近く。原因が分かれば、設備を買い足さずに直せることが多いです。
ハイブリッド会議の記録は、道具だけでも進行だけでも整いません。音の入口を決めて、進行で補う。この二つを組み合わせるのが近道です。有料プランは個人プランが月2,200円(税込)、ビジネスプランが1ユーザーあたり月2,200円(税込・年払いは月あたり1,980円)です。詳しくは料金ページをご確認ください。
次のハイブリッド会議で、記録を残してみる。
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