決まったのに動かない、3つの理由
決定が実行されない会議には、共通する型があります。
1 決まったのか決まっていないのかが曖昧
「前向きに進めよう」「基本的にその方向で」。会議の場では合意したように聞こえますが、議事録に同じ言葉で書かれると、読んだ人には何が決まったのか分かりません。翌週、誰も動いていない状態が生まれます。
2 やることが書かれていても、担当者がいない
「見積書を改訂する」と議事録にあっても、誰が改訂するのかが書かれていなければ、全員が自分以外の誰かの仕事だと考えます。人数が多い会議ほど起こりやすい現象です。
3 期限がない
担当者が決まっていても、期限がなければ優先順位は上がりません。目の前の締め切りがある仕事に押され、次の会議まで手つかずで残ります。
三つを裏返すと、やるべきことは単純です。決まったことを決まったと書き、やることには担当と期限をつける。この二つだけで、実行率は変わります。
「決定事項」と「検討中」を分けて書く
議事録を、話した順に書き下ろすのをやめてください。読む人が探しているのは、話の流れではなく結論です。
おすすめは、本文の冒頭に次の三つを分けて置く形です。
- 決定事項:この会議で決まったこと
- アクション:誰が、何を、いつまでに
- 持ち越し:決まらなかったこと、次回に判断すること
三番目の「持ち越し」を用意しておくのが要点です。この枠がないと、決まっていないことが決定事項の欄に紛れ込みます。逆に持ち越しの枠があれば、「これは今日決められない」と書き分ける習慣ができます。
持ち越しには、次に誰が何を持ってくれば判断できるのかまで書いてください。「単価は持ち越し」だけでは、次回も同じ場所で止まります。「単価は持ち越し。仕入先の見積を営業が9月25日までに取り、次回判断」と書けば、次回は判断ができます。
アクションは担当と期限がそろって初めて機能する
アクションの書き方には、そろえておきたい要素があります。
- 担当:個人名。部署名やチーム名にしない
- 期限:日付。「来週まで」「なるべく早く」にしない
- やること:動詞で終える。「〜の件」で終えない
- 完了の状態:何をもって終わりとするか
特に一番目です。「営業部で対応」と書かれたアクションは、担当が決まっていないのと同じ状態になります。部署の中で誰がやるのかを、その場で決めてしまうほうが早いです。
四番目の「完了の状態」も効きます。「取引先に確認する」だと、電話をかけた時点で終わりなのか、回答を得た時点で終わりなのかが人によって違います。「取引先から納期の回答を得る」と書けば、解釈が分かれません。
優先度は無理につけなくてよい
アクションに高・中・低をつける運用もありますが、件数が少ないうちは期限だけで足ります。項目を増やすと記入の手間が増え、書かれなくなります。まずは担当と期限の二つを徹底してください。
そのまま使える書き方
文章の体裁より、要素がそろっていることのほうが大切です。次の形をひな型にしてください。
- 決定事項:初回ロットは300ケース。納品は10月7日。3店舗でテスト導入を開始する
- アクション:見積書を改訂して取引先へ送付する/営業 田中/9月25日/送付済みの状態で完了
- アクション:店舗別の導入数を確定する/店舗運営 佐藤/9月30日/3店舗分の数量が確定した状態で完了
- 持ち越し:追加ロットの単価。仕入先の見積を営業が9月25日までに取り、次回判断
会議の種類によって残す項目は変わります。工程会議なら工程と是正事項、品質会議なら不具合と対策、商談なら条件と次回の約束。ただし「決定事項・アクション・持ち越し」の三つは、どの会議でも共通して使えます。
定例会議は前回分の確認から始める
書き方を整えても、読み返されなければ実行にはつながりません。定例会議では、議題の一番目を「前回のアクションの確認」に固定してください。
所要時間は3分ほどで足ります。前回のアクションを読み上げ、終わったもの、終わっていないもの、事情が変わったものを分けます。ここで大切なのは、終わっていない項目を責めないことです。責める場になると、次からアクションが書かれなくなります。期限を引き直すのか、担当を変えるのか、そもそもやめるのかを決めれば十分です。
この3分があるかないかで、議事録の位置づけが変わります。読み返される前提があるからこそ、担当と期限を書く意味が生まれます。
自動で下書きを作る場合の注意
AI議事録を使うと、録音するだけで決定事項とアクション(担当と期限)まで下書きが作られます。白紙から書く工程がなくなるため、担当と期限を書く運用は定着しやすくなります。HANALOGも、録音から文字起こし・要約・決定事項・アクション・今後の予定までを自動で作る仕組みです。
ただし、ここははっきりさせておきます。AIは間違えます。自動で作られた下書きで特に注意したいのは、次の点です。
- 決まっていないことが、決定事項として書かれることがある
- 会議で担当が決まっていないのに、発言した人が担当として書かれることがある
- 「来週まで」といった曖昧な発言が、具体的な日付に変換されることがある
- 金額や数量、社内の略称が、音の近い別の語や別の数字になることがある
どれも、会議で曖昧だったことは下書きでも曖昧なまま残る、という当たり前の話です。裏を返せば、会議の終わりに決定事項とアクションを口に出して読み上げておけば、その部分が音声にはっきり残り、下書きの質も上がります。
確認は、その会議に出席していた人が行ってください。出ていない人には、書かれていることが事実かどうかを判断できません。会議の録音には参加者の同意が必要な点も、あわせて社内で決めておいてください。
何から始めるか
一度にすべての会議を変える必要はありません。次の順で試すのが現実的です。
- 定例会議を一つ選び、議事録の冒頭を「決定事項・アクション・持ち越し」の三つに分ける
- アクションには個人名と日付を入れる。部署名と「なるべく早く」は使わない
- 次回の議題の一番目を「前回のアクションの確認」にする
- 3回続けたところで、前回分がどれだけ終わっているかを数える
四番目の「数える」まで行ってください。感覚で語ると社内の議論がかみ合いません。前回のアクションのうち何件が期限内に終わったか、その数字があれば、書き方を続ける理由も、変える理由も説明できます。
議事録は、作ることが目的ではありません。決まったことが動くために残すものです。有料プランの内容は料金ページをご確認ください。
決定事項とアクションまで、自動で下書きに。
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