長い議事録が読まれない理由
議事録が長くなるのは、丁寧に書こうとした結果です。発言を取りこぼさないように、話された順に書き起こしていく。書いた本人にとっては誠実な仕事ですが、読む側には別の事情があります。
- 読む人が知りたいのは、自分に関係のある決定とやることだけ
- そこへたどり着くまでに何段落も読まされると、途中で離脱する
- 結果として「読まれていない前提」で口頭の説明が追加され、記録の意味が薄れる
議事録が長いこと自体が問題なのではありません。問題は、長い議事録には要点が埋まっているのに、それを掘り出す作業を読む人に押しつけてしまうことです。要約とは、その掘り出す作業を書く側が引き受ける、という分担の話です。
「全文」も残していい
要約をつくるからといって、詳しい記録を捨てる必要はありません。むしろ分けるのが現実的です。前半に1枚の要約、後半に詳しいやり取り。読む人の大半は前半で用が済み、経緯を確かめたい少数の人が後半を読む。この二層構造にすると、どちらの要求にも応えられます。
残すものと削るものの基準
迷ったときの判断は、「これを知らないと、読んだ人が動けないか」で決めます。動けるなら削り、動けないなら残す。この一点に絞ると、作業はかなり速くなります。
残すもの。
- 決まったこと:結論と、適用の範囲や時期
- やること:内容・担当者・期限
- 決まらなかったこと:次に何がそろえば判断できるのか
- 前提になった数字:金額、数量、日付、件数
- 反対意見や懸念:採用されなかったものも、理由とあわせて一行
削るもの。
- 結論に至るまでの言い直しや、同じ主張の繰り返し
- 資料に書かれていて、そのまま参照できる内容
- 雑談、挨拶、進行上のやり取り
- 最終的に採用されなかった案のうち、理由が残っていれば足りるもの
「報告」は一行まで圧縮できることが多い
定例会議の時間の多くは各担当の状況報告に使われます。この部分は要約の効きがいちばん大きいところです。「予定どおり進んでいる」で足りる報告を、発言のまま3段落残しても、読む人の役には立ちません。逆に、予定どおりでない報告には、遅れの幅と原因、対応を残します。順調な報告は短く、変化がある報告は厚く。この配分にすると、読んだ人の目が自然に問題のある箇所へ向きます。
1枚に収める手順
いきなり短く書こうとすると手が止まります。順番を決めておくほうが速いです。
- 1. 決定事項を先に抜く:会議中にはっきり結論が出たものを、箇条書きで並べる
- 2. やることを抜く:担当と期限がそろっているか確かめ、欠けていれば出席者に確認する
- 3. 持ち越しを抜く:決まらなかった議題を、次回の判断材料とセットで書く
- 4. 数字と固有名詞を照合する:金額、数量、日付、取引先名、品番を元の記録と突き合わせる
- 5. 残りを読み返し、動くために要る情報だけ戻す
この順で進めると、重要なものから手をつけるので、途中で時間が切れても使える状態になります。逆に冒頭から順に削っていく進め方は、後半に出てきた決定事項に手が回らないまま終わりがちです。会議の結論は終盤に出ることが多いので、先頭から読む進め方は相性がよくありません。
分量の目安
A4で1枚、文字数で言えば800字から1,200字程度が、読む側の負担として現実的な範囲です。1時間の会議であれば、この範囲に収まることがほとんどです。収まらない場合、会議で扱った議題が多すぎるか、決まっていないことを決まったように書こうとしているかのどちらかです。
削ると困る部分
短くしようとして削られやすいのに、あとから困るものがあります。
第一に、決定の条件です。「新システムの導入を決定」とだけ書くと、「ただし初期費用が見積の範囲内であれば」という条件が落ちます。条件つきの決定を無条件の決定として書くと、読んだ人が先へ進めてしまい、あとで巻き戻しが起きます。
第二に、決めなかったという判断です。議題に挙がったのに結論を出さなかった場合、要約から消えると「そもそも話していない」ことになります。半年後に同じ議題が出たとき、過去に検討して見送った経緯が分からなくなります。
第三に、誰が言ったかが意味を持つ発言です。ふつうの議事録では発言者を省いても困りませんが、責任の所在に関わる場合は別です。取引先が納期について述べた内容、経営者が投資について述べた内容などは、発言者とあわせて残してください。
読む相手で要約を変える
同じ会議でも、読む相手によって必要な情報は違います。1枚の要約をそのまま全員に配ると、誰にとっても少し足りない文書になりがちです。
- 出席者:確認が目的。決定事項とアクションの一覧で足りる
- 欠席者:経緯の理解も必要。なぜその結論になったかを一行添える
- 経営者・上位の責任者:判断が必要な点と、金額・納期への影響
- 別部署:自部署に関係する部分だけを抜き出して渡す
すべてを書き分けると手間が増えます。現実的なのは、1枚の要約を共通で配り、経営者や別部署へは関係する箇所に一行添えて転送する形です。全員分を個別に作るのではなく、宛先ごとに一行足すだけ。この程度の手間なら続きます。
下書きを自動でつくる場合
要約の作業が重いのは、録音や手書きメモから要点を探す工程に時間がかかるためです。ここを自動化すると、作業の中身が「探す」から「確かめる」に変わります。
HANALOGは、録音するだけで文字起こし・要約・決定事項・アクション(担当と期限)・今後の予定を自動で作成します。要点を抜き出す工程が下書きとして出てくるので、上で挙げた手順のうち、確認と調整から始められます。PCとスマートフォンのブラウザで使えます。対応ブラウザから、マイクとパソコンの音を録音できます(環境によってはマイクの音だけになります)。会議室に入れるボットは不要です。
できあがった議事録はWordとPDFで書き出せます。社内に決まった様式がある場合は、Wordで書き出してから貼り付ける使い方ができます。
自動の要約で、とくに確かめたいところ
AIは間違えます。要約という作業は情報を捨てる作業なので、捨てるべきでないものが捨てられる可能性が残ります。次の点は自分の目で確かめてください。
- 条件つきの決定が、条件なしで書かれていないか
- 検討しただけの案が、決定事項の欄に入っていないか
- 金額・数量・日付が、会議で出た数字と合っているか
- 社内の略称や取引先名が、音の近い別の語になっていないか
HANALOGでは、誤変換されやすい表記と正しい表記を登録しておくと、文字起こしと議事録の表記を置き換えられますが、それでも誤りが出ないとは言えません。確認は、その会議に出席していた人が行ってください。出ていない人には、書かれていることが事実かどうかを判断できません。
録音は参加者の同意を得てから
会議の録音には参加者の同意が必要です。社外の方が入る打合せではとくに、冒頭で「記録のために録音します」と伝えるのを習慣にしてください。データの扱いを聞かれることもあります。HANALOGでは音声は文字起こし後3日で削除(設定で残す場合も最大30日)、AIの学習には使わず、解約・退会から30日で全削除という扱いです。社内で共有しておくと、その場で答えられます。
まず1本、やってみる
要約の基準は、文章で読むより一度やってみるほうが早く身につきます。手近な会議を一つ選んで試してください。
- 直近の会議の議事録を用意し、決定事項・やること・持ち越しだけを抜き出す
- 抜き出した1枚を、その会議の欠席者に読んでもらう
- 「これだけで分かるか」「足りないものは何か」を聞く
- 足りないと言われた項目を、次回から残す項目に加える
二番目を省かないでください。書く側が判断した「要点」と、読む側が必要とする情報は、思ったよりずれます。一度聞いてしまえば、以降の要約の基準が自社向けに定まります。削る基準は社内で決めるものなので、他社の型をそのまま持ってくるより、一人に読んでもらうほうが確実です。
議事録は、書き上げることが目的ではありません。読んだ人が動けることが目的です。有料プランの内容は料金ページをご確認ください。
要点の抜き出しから、自動で。
HANALOGの無料プランは毎月3時間まで・期限なしで、クレジットカードの登録は不要です。カードを登録しないため、自動で課金されることはありません。

