会議の録音は個人情報として扱う
会議の録音には、誰が何を話したかがそのまま残ります。氏名、所属、取引先名、価格や条件、ときには人事や評価に関わる発言まで含まれます。個人を識別できる情報が含まれる以上、社内の他のデータと同じ感覚で扱うのは適切ではありません。
法令上の位置づけや必要な手続きは、録音の目的、参加者の範囲、保管の仕方によって変わります。判断に迷う場合は、個人情報保護委員会が公開しているガイドラインや、顧問の専門家に確認してください。ここでは、多くの企業が共通して整えている実務上の考え方を扱います。
実務で押さえるべきは、次の三つです。
- 何のために録るのかを決めておく(目的)
- 録ることを参加者に伝え、同意を得る(同意)
- どこに、いつまで置いて、いつ消すかを決めておく(保管と削除)
同意の取り方は3つの場面で考える
1 社内だけの会議
社内の定例会議であれば、会議の冒頭で「記録のために録音します」と伝えるのが基本形です。さらに、就業規則や社内規程、会議運用のルールに録音の方針を明記しておくと、毎回の説明が簡潔で済みます。
注意したいのは、人事評価、処遇、個人の健康状態などが議題に含まれる会議です。こうした場は、録音の対象から外すか、別の扱いにすることを検討してください。
2 取引先との商談・打合せ
社外の方が参加する場合は、その場で口頭の確認を取ります。「議事録作成のために録音させていただいてもよろしいでしょうか」と伝え、了承を得てから開始します。断られた場合は録音しない、という判断もあらかじめ社内で決めておくと、担当者が迷いません。
継続的な取引先であれば、打合せの案内文に「記録のため録音する場合があります」と一文を入れておく方法もあります。その場で初めて切り出すより、相手も判断しやすくなります。
3 オンライン会議
オンラインでも考え方は同じです。参加者に伝えてから開始します。オンライン会議の場合、録音の方式によっては会議に見慣れない参加者が表示され、それ自体が説明の手間になることがあります。HANALOGは、対応ブラウザから、マイクとパソコンの音を録音できます(環境によってはマイクの音だけになります)。会議室に入れるボットは不要で、参加者一覧に別のアカウントが増えないため、口頭の確認だけで済みます。
社内ルールに書くべき6項目
難しい文書を作る必要はありません。A4で1枚あれば十分です。次の6点を決めて書き出してください。
- 目的:何のために録音するのか(議事録の作成、共有、引き継ぎなど)
- 対象:どの会議を録音し、どの会議は録音しないのか
- 伝え方:誰が、どのタイミングで参加者に伝えるのか(社内・社外それぞれ)
- 保管:音声データと議事録をどこに置くか、誰が見られるか
- 削除:いつ消すか(サービス側の保存期間と、社内保管分の両方)
- 使う相手:外部のサービスを使う場合、そのサービス名とデータの扱い
特に見落とされやすいのが、五つ目の「社内保管分」です。サービス側で音声が消えても、書き出した議事録が共有フォルダに残り続けることはよくあります。議事録そのものの保管期間と保管場所も、あわせて決めてください。
閲覧できる人を決める
議事録を共有フォルダに置く場合、全社員が見られる状態でよいのかを確認します。取引条件や個人に関わる内容が含まれるなら、閲覧範囲を絞る判断が必要です。
サービスを選ぶときの確認ポイント
AI議事録サービスを使う場合、音声データは自社の外に預けることになります。契約前に、次の点を確認してください。
- 音声データの保存期間はどれくらいか。自社で変更できるか
- 文字起こしと議事録のデータはどう扱われるか
- 預けたデータがAIの学習に使われるかどうか
- 解約・退会したとき、データはいつ削除されるか
- 誰がアクセスできるのか
三つ目は特に確認したい項目です。自社の取引条件や技術的な内容が、他社向けの精度向上に使われるかどうかは、社内で説明を求められる可能性が高いところです。
運用でありがちな落とし穴
ルールを作って終わりになる
規程を作っても、会議の冒頭で伝える運用が定着しなければ意味がありません。定例会議の議題テンプレートの先頭に一行入れておく、といった仕掛けのほうが確実です。
録音しない会議を決めていない
「録音してよい会議」だけを決めて、「録音しない会議」を決めていないケースが多く見られます。人事、評価、懲戒、健康に関わる場は、あらかじめ対象外としておくほうが、現場の判断に迷いが出ません。
AIの誤りをそのまま共有してしまう
これは情報の正確性に関わる問題です。音声認識は、音と前後の文脈から言葉を推測するため、専門用語や社内の略称、金額や日付が別の内容になることがあります。誤った内容が記録として社内に残り、後から根拠として使われることは避けたいところです。共有する前に、出席した人が決定事項と数字・固有名詞を確認する工程を残してください。
個人のアカウントで使ってしまう
担当者が個人的に試したサービスに、会社の会議データが入り続ける状態は、退職時などに問題になります。どのサービスを、誰のアカウントで使うのかを社内で把握してください。
HANALOGでのデータの扱い
参考として、HANALOGでの扱いを記載します。社内ルールを作る際の比較材料としてお使いください。
- 音声データは、文字起こしの後3日で削除されます。設定で残す場合も最大30日です
- 預かったデータをAIの学習に使うことはありません
- 解約・退会から30日で、データはすべて削除されます
- 対応ブラウザから、マイクとパソコンの音を録音できます(環境によってはマイクの音だけになります)。会議室に入れるボットは不要です
- 作成した議事録はWordとPDFで書き出せます。社内の保管ルールに合わせて扱えます
録音の同意、社内ルール、データの扱い。この三つを先に整えておくと、AI議事録の導入時に「誰がどう判断するのか」で止まることがなくなります。逆に、ルールを決めないまま現場で使い始めると、後から回収が難しくなります。導入を検討する段階で、A4で1枚のルールを作ることをお勧めします。
データの扱いを確認しながら、試せます。
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