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会議が多すぎる会社の見直し方|会議の棚卸しと、やめ方の決め方

週に一度の部門会議、月初の全体会議、毎朝の朝礼、案件ごとの打ち合わせ。ひとつずつは短くても、足し上げると人件費のかなりの部分が会議に乗っています。それでも、感覚で「あれは要らない」と削り始めると、たいてい声の大きい人の意見が通って終わります。では、何を材料にすれば、やめる会議を決められるのでしょうか。

目次
  1. まず1か月分の会議を書き出す
  2. 会議のコストを、時間と人数で見る
  3. やめる・短くする・非同期にするの3択
  4. 報告だけの会議は、記録の共有で代替できる
  5. やめるときに出る反発への対応
  6. やめたあとに、何が起きたかを確かめる
  7. 会議をやめる判断は、数字だけでは決まらない

まず1か月分の会議を書き出す

会議を減らす話は、たいてい「あの会議は要らない」という個人の感想から始まります。そこから始めると、意見の押し合いになって決まりません。先に、事実を並べます。直近1か月に実際に開かれた会議を、1件残らず書き出してください。

書き出す項目は、次の6つで足ります。

  • 会議の名前
  • 開催の頻度(毎週火曜、月1回、不定期)
  • 1回あたりの所要時間(予定ではなく、実際に終わった時刻で)
  • 出席者の人数と顔ぶれ
  • その会議の目的(決める/共有する/相談する/習慣)
  • 直近3回で、実際に決まったこと

作業は、総務か管理部門の1人が半日かければ終わります。カレンダーの予定を1か月分たどるだけです。最後の項目だけは主催者に聞きますが、「直近3回で決まったことを3行で」と頼めば済みます。

この一覧を作ると、たいていの会社で1つか2つ、誰も目的を答えられない会議が見つかります。前任者から引き継いだので続いている、という会議です。それを見つけるのが、棚卸しの最初の成果です。

会議のコストを、時間と人数で見る

書き出した一覧に、1列足します。「1か月あたりの延べ時間」です。所要時間×出席者数×月の回数で出します。週1回・1時間・8人の部門会議なら、1時間×8人×4回で、月32時間です。年間にすると384時間になります。

この数字を、社内の平均的な人件費の時間単価と掛け合わせると、金額になります。金額まで出すかどうかは、社風によります。金額を出すと議論が生々しくなる職場もあるので、まずは延べ時間だけで足ります。月32時間という数字は、それだけで「その会議で毎月32時間分の価値が出ているか」という問いを立ててくれます。

全社分を足し上げると、多い会社では月に300時間、400時間という数字が出てきます。ここで慌てて全部を削ることはありません。会議は、それ自体が無駄なのではなく、時間あたりの中身が薄いものが混ざっているだけです。見るべきは総量ではなく、1件ごとの中身です。

やめる・短くする・非同期にするの3択

一覧の会議を、1件ずつ次の3つに振り分けます。現状維持という選択肢も残しますが、まずは3つのどれかに当てはまらないかを考えてください。

  • やめる:直近3回で何も決まっておらず、目的も答えられない会議
  • 短くする:中身はあるが、報告の読み上げに時間を使っている会議
  • 非同期にする:情報を渡すだけで、その場のやり取りが要らない会議

短くするときは、時間を半分にすると決めてしまうのが早い方法です。60分を30分にすると、雑談と読み上げが先に落ちます。落ちなかった場合は、議題が本当に多いということなので、30分に戻さず議題のほうを分けます。

非同期にするというのは、集まらずに文章でやり取りする形に変えることです。週次の進捗会議を、決まった書式の報告と、コメントでのやり取りに置き換える。これで足りる会議は多くあります。ただし、判断が割れそうな案件が含まれる週だけは集まる、という運用にしておくと安全です。

出席者を減らすという4つ目の手

会議そのものは残しつつ、出席者を減らす方法もあります。「関係するかもしれないから」で呼ばれている人を外します。外された人には、記録を読んでもらう形にします。8人が5人になれば、それだけで延べ時間は4割減ります。発言しないまま座っている時間は、本人にとってもつらい時間です。

報告だけの会議は、記録の共有で代替できる

やめる候補の筆頭は、報告だけの会議です。各部門が順番に数字を読み上げ、質問がほとんど出ずに終わる。1時間のうち、実質的なやり取りは5分。こういう会議は、記録を配る形に置き換えられます。

置き換えるときのポイントは、報告の書式をそろえることです。各自が自由に書くと、読む側の負担が増えて結局読まれません。「今週の数字」「予定どおり進んでいないこと」「他部門に頼みたいこと」の3項目に絞ると、書くほうも読むほうも続きます。

もう少し実務に寄せると、部門内の短い打ち合わせを録音して、そこから起こした記録を関係者に回すやり方もあります。HANALOGを使えば、集まらなかった人が後から読める一枚が、打ち合わせの終了直後に手元にできます。全員を呼んで口頭で報告し合う代わりに、3人で話した中身を10人が読む、という形に変えられます。

置き換えで失われるものもあります。雑談から出てくる気づき、表情で伝わる不安、廊下で続く会話。報告会をなくすと、こうした副産物も一緒になくなります。全部を記録の共有に替えるのではなく、副産物が要らない会議から順に替えます。

自動で起こした下書きを、そのまま回すのは避けてください。読む側は会議に出ていないので、書き間違いに気づける人がいません。「三千万」が「三千円」に落ちていても、記録だけを読む10人はそのまま受け取ります。回す前に、金額と日付、取引先の名前、決まったことの一行は、その場にいた人が目で追ってください。

録音そのものについても、先に社内で決めることがあります。録音を始める前に、参加者の了解を取ります。誰が録音を始めるか、冒頭でどう伝えるか、断る人がいたときはどうするか。ここを決めずに始めると、最初の1回で気まずさが残り、次から誰も録音ボタンを押さなくなります。

やめるときに出る反発への対応

会議をやめると言うと、反発が出ます。反発の中身は、だいたい3種類に分かれます。

  • 情報が入らなくなる、という不安
  • 自分の仕事が見えなくなる、という不安
  • その会議を立ち上げた人の面子

1つ目には、代わりの入り口を先に用意して答えます。「この会議はやめますが、これまでそこで共有していた内容は、毎週水曜に記録として回します」と、やめる前に示します。代わりを示さずにやめると、不安は反対意見の形で出てきます。

2つ目は、見落とされがちですが根が深い反発です。会議で発言することが、自分の働きを示す場になっている人がいます。この場合は、記録に「◯◯部からの提案」と名前が残る形にすると、収まることがあります。

3つ目は、正面から説得しないほうが早いことが多いものです。「やめる」ではなく「3か月止めてみて、困ったら戻す」と提案します。期限付きの試行にすると、反対する理由が弱くなります。実際に3か月止めて困らなければ、戻す話はたいてい出ません。

やめたあとに、何が起きたかを確かめる

止めた会議は、止めっぱなしにせず、3か月後に確認します。確認する項目は、止めたことで困った場面があったか、代わりの情報共有は実際に読まれているか、止めた分の時間が別の仕事に回ったかの3点です。

最後の1点は、意外と見落とされます。会議を減らしても、空いた時間がそのまま別の会議に埋まっていたら、意味がありません。棚卸しの一覧を手元に置いて、3か月後にもう一度、延べ時間を計算してください。減っていなければ、どこかで増えています。

困った場面が出た会議は、素直に戻します。戻すときは、元の形ではなく、短くした形か、出席者を減らした形で戻します。一度止めた経験があるぶん、戻した会議のほうが中身は濃くなります。

会議をやめる判断は、数字だけでは決まらない

棚卸しで出した延べ時間は、やめる会議を選ぶための材料であって、答えそのものではありません。数字だけを見て決めると、削りやすいところから削ることになり、残しておくべき場が先に消えます。あわせて見ておきたいことが、いくつかあります。

ひとつは、決まるまでの速さです。「今期は会議を3割減らしました」という報告は作れますが、それで意思決定が遅くなっていたら差し引きで損をしています。ある案件が持ち上がってから結論が出るまでの日数が短くなっていれば、会議の本数が多くても困りません。逆に、会議を半分にしたのに日数が伸びていたら、減らし方を間違えています。

もうひとつは、調整が散らばっていないかどうかです。部門をまたぐ案件が多い会社で集まる場を削りすぎると、調整は個別のやり取りへ移ります。個別のやり取りは棚卸しの一覧に載らないので、延べ時間の数字だけは順調に減っていきます。減った時間がどこへ行ったのかは、一覧ではなく、現場に聞かないと分かりません。

最後に、その会議が誰にとっての接点かです。他部門と話す機会がその場しかない人、現場から本社の判断を直接聞ける場がそこしかない人がいます。延べ時間の表では、8人のうちの1人として同じ重さで並びますが、失うものの大きさは同じではありません。やめると決める前に、誰が一番困るかを名前で思い浮かべてみてください。思い浮かばないなら、それはやめてよい会議です。

棚卸しの目的は、会議の本数を減らすこと自体ではなく、いま挙げたような判断を材料の上で下せるようにすることです。まずは1か月分の会議を書き出すところから、始めてみてください。

1か月分の会議を書き出して、延べ時間を出してみる。

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執筆:一般社団法人中小企業販促・DX支援協会